アクリル板をけ破るなんて・・・

2018年11月1日 アクリル板をけ破るなんて・・・

 大阪府警富田林警察署の留置場面会室のアクリル板をけ破って逃げた某氏が、世間を騒がせましたが、私も広島県警南警察署の留置場に28日間入っていた体験者として、あそこからは、とても(ネジがどうのこうのと伝えられていましたが・・・?)け破って逃げ出せるようなものではないように思います。しかし、あの出来事で、計らずも、留置されていた6年前の事が思い出される事です。

 南署の留置場は、6室か7室あり、4号室は欠番で、私は、中ほどに近い13号の独居房に入れられました。天井が高く薄暗い長方形のコンクリートの打ち抜きの部屋で、そこに、ネチネチした肌触りのビニル畳が縦に4枚敷かれ、奥の半畳に、さらにじめっとして薄気味悪い、下半身だけ見えないようになっている和式トイレの部屋。房の前は通路、その向こうに留置場警察官の机がこちら向きにいくつかありました。

 留置場に入れられる時は、手錠を外されて、毛布1枚と、芯のないトイレットペーパー1巻だけ持たされますが、枕は与えられませんし、タオル類は持ち込めません。(自殺させない為だろうと思う。)当然ですが、部屋に私物は持ち込めず、机も、他の物も全くありません。もちろん、携帯も没収されて外界と全く連絡はとれません。
 面会室に連れて行かれる時は、まず、「13号!」と番号で呼ばれて、鉄格子が開けられ、通路に出されますが、そこで手錠をかけられます。

   「13号」と呼ばれ時雨(しぐ)るる鉄格子   ひろし

 そして、少し先の出入り口まで歩いて、再び鉄扉が開けられて通路を歩き、面会室の前で手錠を外され、部屋に入ります。

面会は、弁護士の場合は何時でも可能ですが、他は、警察官立ち合いの元、1日に15分間だけで、しかも、土日の面会は許されず、週末の土日は、本当に心細く、月曜日の朝の面会までが随分長く辛い時間だった事を思い出します。

 その当時のメモの一部を振り返って見ていると…『10月17日(水)勾留6日、頭が朦朧』とあり、思考力も衰えて来たようです。『~考えてみれば、事件があったとする9月24日は、逮捕された日の2週間以上も前の話で、記憶は定かでない。私がお金を盗っていないのに、T刑事は、金を盗っている、金を盗っている。と責め立てて、刑事が作った、ありもしない、私の銀行内での犯行ストーリーを認めさせようとする~。私は、銀行内での行動内容は覚えていない。全て自信がない。確かなのは、(自信があるのは)お金を盗った記憶がないだけで、あとは刑事の問い詰め方に乗せられていったような…』とあります。また、『この調べは、私が金を盗ったと決めつけた事から始まっている…⁈』ともありました
 『10月19日(金)検察庁へ…N検事と接見。私がお金を盗っていない事を懸命に説明したが、検事から「ゆうべ何回も防犯カメラの映像を見たが、お金を盗ったのは、あなたに間違いない。」と言われる。しかし、この時点でも証拠の防犯カメラの映像を私に見せてくれない。それどころか「お金を盗ったか盗らないかは別にして、被害者?に金を払えば済む事です。」と言われて愕然とし、示談ばかりを勧める検事が「裁判しても、日本の司法は、99%有罪だ。」と豪語。「死ぬまで裁判する事になって、人生を棒に振った者がたくさんいる。」と脅し、示談を強要するばかりで、検事も公正・中立に、事件の内容をよく見て判断してくれなかった』とメモしていました。 思い出しても、今でも憤りと怒りが込み上げて気分が悪くなります。

 10月の何日なのか、数日いい天気が続いていた様で…『秋祭りの子ども神輿の声が弾んでいた。』とあり、『夜中にいつも何回か目が覚めるが、朝4時頃目が覚め、うす暗闇の中で俳句が浮かんだが、紙と筆記用具がない。(夜9時から、メモ用紙と筆記用具、更に、眼鏡も毎晩取り上げられている)思いついたのは、トイレットペーパーを細いこよりにして、ちぎり、それをカタカナ文字にし、警察官に見つからない様に房前面の小さな死角スペースに並べた。それを、昼に紙と筆記用具をもらって、記録』

   天高し地に我が疑惑晴らすべく   ひろし

 朝早く、2階屋外の細長く狭い通路を、一人20分位左右に歩ける運動の折…

   秋の空うそ偽りのなき高さ   ひろし

そして雨の日…

   秋雨や窃盗容疑晴れぬ日々   ひろし
このあいだ、道に何か落ちていると思い、拾おうとしたら、「歳(とし)…」でした。そうか…11月2日は、私の誕生日…「61歳だったか、62歳だったか…いや、71歳だったか、72歳だったか、何歳だったか・・・危うい?」そういえば6年前の誕生日は、留置場の中で迎えた…。その数日後、大学の何周年かの記念同窓会へ出席できず、私は窃盗の汚名を着せられて留置場の中。同窓の知り合いは私の事をどう思っているだろうと屈辱的な思いに沈んだ事を思い出しました。

   晩秋の音冴え冴えと独居房     ひろし

  「施錠よし」と房の復唱冬隣(ふゆどなり)    ひろし

 

動画投稿サイト「Youtube」に「1番だけが知っている」の煙石事件の投稿がありましたのでご参考までに・・・多くの方々から関心が寄せられています。

             

           (Youtubeサイトはこちらをクリック →  クリック )

 よろしかったら、ご覧になって下さい。(※2018年10月31日時点での再生回数 28万0292回

私の事件は、私だけの問題ではありません。私のような被害者が、私の後に出ない為にも、一人でも多くの皆様に真実を知って頂きたいと思っています。

                                            煙石 博

2018年11月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : masayukien