広島高裁控訴審第3回公判

2014.8.26 広島高裁控訴審第3回公判後の記者会見 
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記者会見で久保豊年弁護士の報告

この事件はさまざまの争点があります。
 1、地元の銀行で、66,600円という500万円からいえば、はした金、これを盗むのか?
 2、煙石さんが記帳台に行って66,600円入っていたといわれていた封筒に果たして触ったのか?
 3、防犯カメラの死角に行って、その封筒から66,600円を器用に抜いて、それをポケットに入れて、
   盗むということが物理的に可能なのか?
 4、その封筒をご丁寧に、元の記帳台に戻したという事ですけど、そんなことしますか?
 
弁護人は、映像解析を専門にしている民間の鑑定会社に、防犯カメラの映像を細かく分析してもらいました。
『煙石さんは、この記帳台に置いてあったとされる封筒には一切手を触れていない』という鑑定結果が出たのです。封筒に触れていないのであれば、盗るわけがない。盗れるわけがないわけですから。それが一番、確実だろうということで、その鑑定を私的に頼んで、大金を払って、鑑定書が出来ました。

第1回公判で、この鑑定書を証拠として採用して下さいと、裁判所にお願いをしました。
「鑑定書というものは、法の321条の4にありまして、この鑑定書を作った鑑定人がそういう鑑定をする資格を持っていると認められて、鑑定内容が専門的な知見に基づいて作られたものであるということが確認出来れば、即ち、一定の信用性が確認出来れば採用しても良い」という法律があります。

第2回公判では、『煙石さんは封筒に触っていない』と鑑定書を作成した民間の鑑定研究所の鑑定人(画像解析)の方に主任弁護人久保豊年弁護士から質問しました。
質問に対して、鑑定人は『科学的に鑑定した結果、煙石さんは封筒に触っていない』鑑定結果が出たと詳しく、判りやすく説明され、その結果の鑑定書であると証言されました。
 
検察官は、大学で専門教育を受けているんですか?・・という事を聞かれていましたけど・・知見があるかどうか・・と、専門家としての資格があるかどうかを確認する尋問です。これは、不当な尋問ではないんです。それに対して、鑑定証人は「私は、実は警察とか、検察庁とか、公的機関からも相当数の依頼を受けて鑑定をしています」と、述べられました。確かに、大学の専門教育は受けてはおられないけれど、専門家としての知見があるという事を述べられました。
 
今日の、第3回公判では、 新しく鑑定書を追加しました。
これは、前回検察官からあなたは全てのフレームを調べているんですか? と反対尋問があったのですから、急遽、鑑定証人に無理をお願いしまして、全フレーム。全フレームといっても、被害者、それから煙石さん、それから銀行の警備員さん、この3名がこの記帳台に近づいた人たちなのですが、この3名を映している2方向からのカメラの映像、これが319フレーム、それぞれあるんですけれども、319フレーム全てを精査してもらって、そして、今日法廷に来られた方は見られたと思いますが、それを全て鮮明化して、鮮明画像・・・ガウス処理という手法を使うらしいですけど、鮮明画像にしました。しかも、それを繋ぎ合わせて、アニメーション化して、どういう動きを、被害者の指とか手はいったいどのように動いたのかを、ラインで示して、記帳台を円の状態にして、平面化して、被害者の手指が動いた位置をプロット化しました。次に煙石さんが来ますね。煙石さんの手指がいったいどう動いたか?それをまたプロット化しました。それから最後に銀行の警備員さんの位置もプロット化しました。すると、銀行の警備員さんのプロット化された手指の位置と封筒があったとされる位置、被害者の手指が動いた位置が一致するんです。ある範囲で一致するんです。だけれども、煙石さんの手指が動いた位置とはいっさい交差していない。つまり、これが交差していないということは、被害者が動いた手指の位置の先に封筒があったのだから、『封筒にはいっさい触っていない。』この検証をしてもらったのです。
そのことを、法廷で実際に映写して、(法廷に)来られた方は見られたと思います。それに対して、検察官がいろいろ、いろんな角度から、反対尋問とか、信用度を低下させるような尋問を一生懸命されていましたけれど、鑑定証人の意見はずーと変わらず、揺るぎの無い状態だったと思います。

その結果、最初の鑑定書、第1回公判で提出した鑑定書、それから本日提出した鑑定補充書、それから今回・・CDの状態で提出した画像(静止画像・319コマの静止画像、2種類・それを組み合わせたアニメーション画像)を裁判所は証拠として採用しました。弁護側の証拠として採用されました。

鑑定書が証拠として採用されたのだからもう無罪だろうと思われるかもしれませんけれども、それはそう単純ではありません。

鑑定書というのは、法律によりまして、一定の専門的な知見を持っている人が、一般に公正だと認められる専門的な方法で解析したということが認められれば、それは採用されるべき証拠です。

後は、3人の裁判官が、果たしてこの鑑定書が鑑定通り信用出来るかどうか? ということを精査する作業が残っているんですね。これについては、煙石さんがこの封筒の中身の金を盗ったと検察官が言っているわけなのですから、それについて一定の合理的な疑い、『いや、煙石さんではないかも知れない』『ひょっとしたら、これは最初からお金が入っていなかったかも知れない』 と、一定の合理的な疑いがあれば、それは、無罪にしなければいけないのです。

我々は、そのレベルでなくて、本日の2通の鑑定書の採用によりまして、『煙石さんは封筒にはいっさい触れていない』と立証出来たと思っています。
ということは、無罪でなくて、無実なのです。無実なんです。と立証出来たのです。
ここは立証する必要はないのですよ、本来は。弁護側というのは。検察官が証明しなくてはいけないことを、「これはおかしいのじゃないの・・・」とでいいんですけれども。一審がそういう判決を出しているので、二審で、我々が無罪を証明しなくてはいけないので、そういう状況に追い込まれたので、証拠申請をしました。

後は裁判所がどう判断するかなんですけれど、
次回は弁論。証拠に基づいて、我々が 『煙石さんは無実だということ』をきちんと法廷で主張するという場面が15分間、与えられましたので、主張します。
それに対して検察官も「いやいや、有罪なんです。」「鑑定書は信用出来ない」ということを弁論で述べられると思います。
で、それを聞いて、3人の裁判官は合議して、この事件 有罪か、無罪か を決める。ということになります
経過はそういうことです。(主任弁護人久保豊年弁護士の報告から)


煙石博さんからの挨拶

今日は皆さん、ありがとうございます。永い間、ご心配をおかけしておりまして、本当に申し訳ありません。今日もお忙しい中、法廷に足を運んで下さいまして、心から、お礼を申し上げます。みなさんの、この暖かいご支援が私どもの大きな力になっております。
またホームページを皆さんに見て戴いたり、それから署名活動を通じても、私どもの真実を伝えてくださって、これも、とても大きな力になっております。とにかく、私は66,600円を盗っておりません。私は無実です。
頑張って参りますので、今後とも、どうぞよろしくご支援をいただけますようにお願いします。今日は、ありがとうございました。

裁判所は次回公判で弁護人の弁論、検察官の弁論を聞いて結審とするとしました。
次回公判は10月9日(木)11:00~ となりました。


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