最高裁傍聴席 「いー1」番に 二度座った男

2017年3月18日    最高裁傍聴席 「いー1」番に 二度座った男

2月17日の最高裁弁論から3週間後の3月10日、新幹線で東京に向かう途中、車窓から雪をかぶったとても美しい富士山が見えました。いい判決がでますようにと祈りながら仰ぎ見る富士山へ、「白さも白し富士の白雪、私は無罪」と心の中で幾度もつぶやきました。
 再びの最高裁、弁論の時は、裏口のような感じの南門から入りましたが、今回の判決は、「正門からの入廷」と指示がありました。14時15分、最高裁正門前で久保豊年弁護士と合流。

建物に向かってしばらく歩き、さらに長い階段を上って最高裁の正面玄関に入ると、中は吹き抜けのホールのようになっており、荘厳で堂々とした雰囲に包まれていました。そこから案内され、第二小法廷に入りました。ここには被告席はなく、弁論の時と同じく、最前列の「いー1」番の席に座りました。私の隣に家内と息子、そして支援者の傍聴者が続いて座り、判決を待ちました。
15時、鬼丸かおる裁判長を含め、4名の裁判官が入廷、この時、鬼丸裁判長の表情と雰囲気が、前回の弁論の時の固い雰囲気とは違い、柔和で温かいと感じて、「これは・・・無罪・・・判決・・・か」と息を殺して裁判長を見つめながら、「私は本当にお金を盗っていないのですから、無罪・・・しか・・・ありません。」と念じ続けました。

「主文 原判決及び第1審判決を破棄する。被告人は無罪。」と言われた瞬間、「そうです、そうです。正しい判断です。」と心の中で繰り返していました。2012年10月11日に止まったままの、私の人生の時計が、再び動き始めた瞬間でした。

閉廷後、久保豊年弁護士と、無罪を勝ちとる会の佐伯譲会長と共に南門へ出て、報道陣からインタビューやら・・・撮影やら・・・ここまで支えてくださった皆様に感謝、感謝、ただ感謝。
その後、霞が関の司法記者クラブでの共同記者会見を終え、すぐに帰途につきました。

帰りの新幹線で、ほっとして無罪のうま酒を・・・しかし、ほっとする間もなく、次々と電話やメールが・・・家に帰っても、メールや留守電・電話で、嬉しいメッセージ等を頂きましたが、対応しきれなくて・・・申し訳ありませんでした。
さらに、お便りもたくさん頂き、嬉しく拝読して元気を頂きましたが、これもお返事できず、お許しください。数々の失礼をお詫びいたします。

何はともあれ、皆様のご支援のおかげで、無罪を頂き、ほっとしています。まだまだ整理をしないといけない事がたくさん残っていますが、一日も早く普段の私に戻れればと思います。
長い間の皆様のご支援、心よりお礼申しあげます。

 

煙石 博

2017年3月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : masayukien