「光の春」よ、万物再生の兆しを…

2020年3月1日      「光の春」よ、万物再生の兆しを…

 世の中、コロナ…コロナ…で大変です。この冬は、大暖冬ではありましたが、例年、2月の立春から3月のお彼岸の頃に向けては、「光の春」と言われもして、寒さの中にも日の光に力がこもり始め、空が明るくなって、心弾む時期の筈ですが、今年は、コロナウイルスへの恐れと、厳戒態勢の中で、不安と厳しい緊張感に包まれています。何が何でも、この状況を乗り越え、新型肺炎の終息を願うばかりです。1日も早くコロナウイルスを封じ込めて、平和な日常が戻って来る事を祈ります。

 ところで、3月と言うと、私にとって、ひとたび命を絶たれた人生を取り戻す事が出来た月です。振り返れば、4年5ヶ月にわたった私の冤罪裁判で、3年前の、2017年3月10日午後3時からの、最高裁判所第2小法廷で、鬼丸かおる裁判長より、「広島地裁・広島高裁の判決(お金を盗った証拠も無いのに、懲役1年執行猶予3年の判決)を認めると、著しく正義に反するので、無罪‼」という正しい判断が下され、私の冤罪を晴らす事が出来ました。ご支援下さった多くの皆様に心からお礼を申し上げるばかりですが、私の冤罪事件に関わった、広島のひどい警察官、検察官、裁判官の不正義に「煙石は無実‼ ひとごとではない、明日は我が身」と立ち上がって下さった無罪を勝ちとる会の皆様、RCC中国放送OBの皆様、私の友人、知人、恩師…沢山の皆様のご支援に、お応えする事が出来た日です。

 その判決の日の様子を記したブログの一部抜粋したものを下記に添付します。

 2017年3月18日 最高裁傍聴席 「いー1」番に 二度座った男

 2月17日の最高裁弁論から3週間後の3月10日、新幹線で東京に向かう途中、車窓から雪をかぶったとても美しい富士山が見えました。いい判決がでますようにと祈りながら仰ぎ見る富士山へ、「白さも白し富士の白雪、私は無罪」と心の中で幾度もつぶやきました。
                     ・・・途中省略・・・           
 最高裁、第二小法廷には被告席はなく、弁論の時と同じく、最前列の「いー1」番の席に座りました。私の隣に家内と息子、そして支援者の傍聴者が続いて座り、判決を待ちました。
15時、鬼丸かおる裁判長を含め、4名の裁判官が入廷、この時、鬼丸裁判長の表情と雰囲気が、前回の弁論の時の固い雰囲気とは違い、柔和で温かいと感じて、「これは…無罪…判決…か」と、息を殺して裁判長を見つめながら、「私は本当にお金を盗っていないのですから、無罪…しか…ありません。」と念じ続けました。

 「主文 原判決及び第1審判決を破棄する。被告人は無罪。」と言われた瞬間、「そうです、そうです。正しい判断です。」と、心の中で繰り返していました。
 2012年10月11日に止まったままの、私の人生の時計が、再び動き始めた瞬間でした。

 閉廷後、久保豊年弁護士と、無罪を勝ちとる会の皆さんと共に南門へ出て、報道陣からインタビューやら…撮影やら…ここまで支えてくださった皆様に感謝、感謝、ただ感謝。
その後、霞が関の司法記者クラブでの共同記者会見を終え、すぐに帰途につきました。

 帰りの新幹線で、ほっとして無罪のうま酒を…しかし、ほっとする間もなく、次々と電話やメールが…家に帰っても、メールや留守電・電話で、嬉しいメッセージ等を頂きましたが、対応しきれなくて…申し訳ありませんでした。
 さらに、お便りもたくさん頂き、嬉しく拝読して元気を頂きましたが、これもお返事できず、お許しください。数々の失礼をお詫びいたします。

 何はともあれ、皆様のご支援のおかげで、無罪を頂き、ほっとしています。まだまだ整理をしないといけない事がたくさん残っていますが、一日も早く普段の私に戻れればと思います。
 長い間の皆様のご支援、心よりお礼申し上げます。          煙石 博

 あれから3年…。 冤罪は、冤罪が晴れても、失う物が大き過ぎて…壊されたグラスは、元には戻りません。
冤罪被害者が失う人生、人権の事を思うと、冤罪は絶対にあってはならない事で、逮捕・起訴されると99.9%有罪という数字は(最近99.4%有罪という数字も目にしましたが…)たくさんの冤罪が含まれているという事で…とても心が痛みます。

     理不尽な風が吹くなり目刺しの目         ひろし

     覆水(ふくすい)の返らざるまま春の水      ひろし

 広島中央通りの街路樹、白木蓮が、やけに咲き急ぎ、2月半ば過ぎから咲き始めて、ずい分早く白い花の通りを演出しました。この分だと、次の花の主役…桜の開花も…早そうです。光の春の中ですが、皆様、呉々もお体大事に、ご用心なさって下さい。                           煙石 博

2020年3月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : masayukien