2023.5.1(旧暦3.12)今年の5月は・・・ちょっぴり緊張する月・・・?

2023.5.1(旧暦3.12)今年の5月は・・・ちょっぴり緊張する月・・・?

 風薫る5月ですが、今年は様子が違い、青葉若葉が燃える開放的な行楽シーズンに加えて、今年は5月19日(金)~21日(日)に、広島の元宇品町で、G7サミット(主要国首脳会議)が開かれますので、ちょっぴり緊張感のある日々が加わりそうです。

 そう言えば、広島でG7サミットが開かれると言う事で、教育関係では、早くから登園自粛や、臨時休校等が決められたり、他にも色々と、サミットの安全の為の協力体制がシフトされている様です。

 その直接の影響では無いにしても、4月あたりから、平和公園から広島市中心部のメインストリート、本通りの人波の中に、外国からの旅行者がかなり増えていて、G7サミットが広島で開かれると言う事が、或いは、広島へ足を運ぶ、かすかな遠因になっては・・・いないだろう・・・なぁ~等と、思いを遊ばせてみたりするところです。

 メイン会場となる向宇品(むこううじな)は、広島っ子にも、島と言う意識は薄い身近な海辺の海浜ですが、さかのぼると、1893年、明治26年に、眼鏡橋(現在は、よく注意しないと気付かない様な、暁橋・あかつきばし)で、宇品と陸続きになった周囲約3キロ、標高52mの小さな島です。

今では、港、釣場、磯遊びの行楽の場、そして、ロマンあふれる燈台もあって、夕日のベストスポットでもありますが、安芸小富士や、世界文化遺産の地、宮島の弥山等の、瀬戸を望める憩いの場で、日がな潮騒に包まれた景観豊かなアイランドです。
昔、今時分の元宇品で詠んだ拙句ですが・・・。

     山藤の湾一望の高さかな     ひろし

 ところで、この宇品島の由来は、牛がうずくまった姿にも見えるところから、牛の島、牛奈島・・・うじなと言われる様になったと伝えられていますが、薄田(すすきだ)太郎さんの「続々がんす横丁(昭和48年1973年発行)」の中でも、『元宇品は、またの名を向宇品というが、昔は、うっそうとした熱帯植物が茂っていた離れ島であった。

元和5年(1619年)に描かれた安南郡絵図には「牛奈島」と書いてあったという。
・・・広島市史の編者は、次のように書いている・・・想ふに、元和5年の絵図に「牛の島」と書いてあるが、その表現を思うに、この島の形が、あたかも、臥した牛に似ていたために「牛の島」といわれ、それが、転訛して「牛子島」といわれ、さらに「宇治奈島、氏名島、宇品島と文字が変化したものであろう。

・・・ふした牛に似ていたために「牛の島」といわれたのは、比治山の姿が、あたかも虎のふした形に似て、「臥虎山(がこざん)といわれたのと同じタグイである。

・・・元宇品は全島老樹におおわれ、山中に繁茂している熱帯植物は、明治42~3年頃、本多静六博士が発見して、一躍、古代原始林として脚光を浴びたものである。
筆者たちも小学生時代、先生に引率されて、この原始林をたずねた事を思い出す。』とあります。

今でも、この島は、ほとんどが海べりの広葉樹の原生林の森で、全国でもめずらしい、都心近くの国立公園地域に指定されている貴重な地域でもあり、昭和40年頃まで、桟敷が並ぶ「別世界(べっせかい)海水浴場(小さな水族館には、スナメリクジラもいた事があった)」としても、賑わっていた時もありました。

 又、この島の歴史を探って行くと、縄文時代の海食崖(かいしょくがい)や、戦国時代の落ち武者伝説や、秘仏伝説等、興味深い話も残されているところです。

 それにしても、毛利輝元が、広島城を築城し、そのあとの福島正則が、その南に、今の本通りとなった西国街道を作って、城下を発展させる町の基をつくった頃、その南を望んでみると、今の比治山も波に洗われる島で、向宇品となる「牛名島」や「仁保島(黄金山)」も、はるか海の中に霞んで見えていた事でしょう。

 その後、入城した浅野の藩政時代に、海を埋め立てては、土地をひろげ、幕末には、今の宇品の県立広島病院あたりまで埋め立てられて、現在の県病院前の大通りが、水路と土手として残され、弧を描く様に丹那橋の方へ続いていた様です。その土手の桜並木は、桜土手として、多くの人に親しまれていたと聞いています。

 さらに、明治になって、当時の広島県令(県知事)でもあった千田貞暁氏が、さらに南へ埋立地を広げ、そこが、ほぼ、今の宇品町と言われる事となりました。

 そうしてみると、広島は、本当に南へ南へと海を埋立てて発展して来た事をうかがう事も出来ます。

 何はともあれ、広島サミットの成功を祈りますが、今年はG7サミットの為に、例年なら春本番の花の祭りフラワーフェスティバルが、例年より、1ヶ月余り後の6月10日(土)と11日(日)の二日間となっています。
1ヶ月遅れのフラワーステージ、花の顔ぶれが、多少違った祭りとなるかも・・・。

 今回のブログは、G7広島サミットによせて書きましたが、貴重な時間を頂き、ありがとうございました。

 異常気象の為に、本来、穏やかな日本の四季が、ままならぬ状況になっている事も心配するところで、それだけでも、ストレスを感じますが、これに加えて、世の中は、あれや、これや、ただならぬ事ばかりの大変な世の中・・・。何とか、平穏な日々への光が見えて欲しいと願います。お身体ご自愛下さい。

     つ国の戦禍寂しき豆の飯     ひろし

煙石 博

2023年4月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : masayukien