広島高裁控訴審 判決

2014.12.11 広島高裁控訴審判決後後の記者会見 
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               広島高裁控訴審判決公判

煙石博さんは無実です

控訴審判決は 不当判決! 控訴棄却 でした

煙石博さんは、
  世紀の大冤罪!!警察・検察・司法による犯罪です。納得できません。
         私は無実です。無罪でなければ許されません!!  即上告します


煙石博さんは 12月11日、弁護人に久保豊年弁護士を選任し

  上告申立書
   控訴審の判決を不服として、上告を申し立てました。
  事件受理申立書
   控訴審の判決には、法令の解釈に関し重要な事項があるので、上告審として事件を受理す
   るよう申し立てました。

久保豊年弁護士からの言葉
 無罪を確信していたのに残念な判決でした。判決理由は、とてもプロの裁判官が考えたとは思
 えない程、ズサンかつ幼稚な出来で、司法の一員としては恥ずかしい限りです。
 上告の壁はとても厚いですが、最後まで諦めずに頑張りましょう。

煙石博さんの無罪を勝ちとる会 は、
 煙石博さんの無実を確信し、最高裁で無罪を勝ち取るまで支援をしていくことを確認しました。

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 主任弁護人久保豊年弁護士から 『判決公判の内容』 についての報告


  煙石博さん        久保豊年弁護士     北村明彦弁護士
                      
広島弁護士会館・2014年12月11日

 1991年に、ですね、日本弁護士連合会の人権大会がございまして、そこで出席されました
平野教授が 「日本の刑事裁判は絶望的な状態にある」というふうに述べられました。その時から弁護士会はこれではいけないと、当番弁護士制度を全国に設置し、また被疑者国選制度を被疑者団体に拡充し、必死で頑張っている状態です。しかし残念ながら今日の控訴棄却の判決を耳にした瞬間にこの平野教授の言葉がまた、私の頭の中にくっきりとよみがえりました。
また一件冤罪事件が作られようとしているな・・・と、いう感じがして、私は司法関係者の一人としては残念な気持ちです。本当に煙石さんのくやしい気持ちが、法廷でも伝わって来ました。私の力不足があると思いますけれども、この司法をなんとか変えないと本当にまずい状態だなと実感をしています。
 判決を傍聴されていない方もいらっしゃると思いますので、簡単に、判決の骨子を伝えます。
 主文は、本件控訴を棄却する。原審判決・広島地方裁判所の判決が有罪判決でしたので、煙石さんの側が控訴している・控訴審が今日の高等裁判所の判決だとなります。広島高等裁判所としては、その控訴・煙石さんの控訴を棄却するということは、原審判決・広島地方裁判所の有罪判決を支持するということになります。従って弁護側としては負けたということになります。非常に残念です。理由としては、非常にシンプルです。広島地方裁判所の判断構造となんら変わっていないと私は評価しました。一番大きいのは、被害者、66600円を盗られたと主張されている被害者、一応被害者と表現しますが、この被害者が銀行内の記帳台に66600円入りの封筒を置き忘れました。そして次に銀行内のフロアを警備担当している人が、この封筒を拾いました。持ち上げました。それを女子行員に渡すんです。その時には、その封筒内には現金は入っていませんでした。と。この事実なのです。従ってその間に何者かが、現金を抜き取ったに違いありません。これがまず、前提にあるわけです。彼らの精神構造です。判断構造の前提であります。その記帳台に近づいた人間は、その間に居ましたか・・と。
居ました。と・・。煙石さん一人なのです。従って、煙石さんが犯人だと、推認されます。推認とは・・、推定と同じようなものです。これなんです。つまり、これも、広島地方裁判所でやったものと全く同じなのです。同じ構造を繰り返しているのです。では、それで良いのでしょうか?と、本件は窃盗罪なのです。煙石さんが封筒の中から66600円を抜いたという事実を検察官は証拠によって証明しなければいけないのです。裁判所はそれに対して、合理的な疑いを入れない状態まで、そうに違いないと・・という確信を持たないといけないのです。これが我が国の刑事裁判の原則ですし、先進国でとられている無罪推定、証拠裁判主義なわけです。
 では、映像でその封筒から66600円を抜いている場面があったかと、防犯カメラで・・・後で紹介しますが、これは一切無いんです。これは判決も認めています。
ただ、記帳台から白い物体を煙石さん持ち上げている場面が映っています。それが封筒かどうかとの確定は原審裁判所も、この高等裁判所も出来ていません。で、私の方も民間鑑定会社に依頼して、そこは見てもらいましたけど、確定出来ないと・・・しかし封筒ではないと思われるけれども、確定は出来ない。こういうことだったのです。それは弁護側が立証する話ではなくて、検察官がそれが封筒だと立証しなくてはいけないのです。これがされていないのです。先ほどの構造に戻りますと、被害者が記帳台に封筒を置き忘れました。次に銀行の方がそれを手に取った時には現金が入っていませんでした。最初から入っていなければ、この構造は崩れる訳です。それについて原審裁判所・広島地方裁判所も、広島高等裁判所も、被害者そして被害者の母親の証言は充分具体的で信用出来る。とこのように認定しているのです。しかし本当にそうでしょうか?封筒に66600円という数字が書いてあって、封筒の中に振込用紙が入っていて、いれば、必ず66600円は入っている。と推認するというふうに言われれて、いますけれども、入れ間違いとか、入れ忘れはないんでしょうか?それは、人間がやることですから、当然ありうるわけですよね。
そこを、固めてしまうのですよね・・・。裁判所は。そこは信用出来るから・・、入れ間違いは無かった事にまず固めてしまうのです。固めてしまった上で、66600円は入っていたというふうになる。まず、認定をしてしまうのです。したうえで、入っていたのに、銀行員が取り上げた時には無かった。その間に何者かが盗んだ
のに違いない。で、記帳台に近づいたのは煙石さんだけ。だから煙石さんが犯人だ。と、こういう非常にシンプルな基本構造なのですけれども。これをやられますと、無罪推定は完全にどこかに行ってしまします。66600円は最初から入っていたか、どうかは、後からではないでしょうか? つまり窃取したという事実がまず認定されないといけない。窃取したという事実がまず認定された。だったら、最初から入っていた。とすると煙石さんの手がその封筒に触れたのかどうか? これが、最大の争点だったのです。これについて、控訴審になって、民間の鑑定会社に依頼をして、鑑定をしてもらったのです。結論的にいうと、煙石さんの手の指の動きを全てシュミレーションして、映像上、それから、被害者の手の指も全部シュミレーションしまして、それから、銀行員の方の動きも出しています。この三つが重なっているかどうかということで、検討した結果、一切交差していない。ということが判明しました。ということは煙石さんの手は封筒には触れていない。封筒がどこにあったかどうかは問題ではないのです。今日の高裁判決は封筒の位置がそこにあったのかどうか。鑑定書に書いてあった位置にあったのかどうか。について疑問がある。と言われていましたけれども、封筒のあった位置は良く判らないのです。はっきり言って、良く判らないけれども、手指が交差していないのです。映像を分析すると。ということは、どこに封筒があろうが、煙石さんがこの封筒に触れる可能性はゼロじゃないですか?この鑑定について、今日の判決は一言も触れていません。つまり、自ら、立論したシンプルな犯罪構造というものを維持するために、それについて、不都合な証拠というものは、無視をするという・・・これが絶望的な刑事裁判なわけです。正に、絶望的な刑事裁判を今日、見させてもらったなと感じがしております。
 ちょっと、映像で説明した方がいいので、映像を出して下さい。実際の防犯カメラ映像でお見せ出来れば良いのですが、これは証拠資料となっていまして、目的外使用が出来ないことになっています。
(この後、煙石博さんの無罪を勝ちとる会が作成しました「控訴審の経過・追加資料」を基に説明しました)
えーと、今のは、非常に簡略化した図面ですけど、実際は手指の位置を全て線で表して、それをいまの円盤状の平面図に全部落としていって、そして、手指の位置をそれぞれ特定して、交差したかどうかを、鑑定をやりました。勿論、私的な鑑定ですから、お金をだして、自分の無罪を証明するために、やっているわけです。これについては、全く判断されていません。どうして、そんなことが出来るのか、と、いうことだと思います。そういうものなんですネ。絶望的な刑事裁判は・・? そういうもんだということをご理解下さい。広島高裁は、本日の判決で、この鑑定、私的鑑定については、封筒の移動とかそういうものについて、信用出来ませんと。このように言っています。信用出来ない理由として、封筒の移動について、裏付けるような映像がない。と言っています。これは全く、先ほど言ったように的外れです。封筒の位置のことを言っているわけではありません。それぞれの手指の位置を分析している訳ですから、それが交差していなかったことについて、なんらの回答もありません。よくわからない右手を伸ばして、10時の位置、先ほどの円でいうと、時計の10時の位置の白色物体を掴んでいる。と、従って、それが、封筒を盗った瞬間だと、説明して矛盾はないと、説明をされました。それから空の封筒、66600円のお金をどこかで抜き取って、判決によると、ATMの死角、防犯カメラの死角に、わざわざ入って行って、66600円を抜き取って、空の封筒を戻していると言っているんですけど、勿論、戻す映像もありません。だけれども、戻したことは、充分推認できると言っています。充分推認できると言っています。ネ。なんでか、白い物体を手に取っているから、それが、封筒はあったわけだから、戻したに違いないと。これは、小学生でもおかしいと思いますね。で、現金のみ抜き取っているというのが、良く考えて下さい。封筒から、あのちっちゃい封筒なんですよ、あれから、振込用紙も入っていて、66600円ということは、12枚の札を抜いて、硬貨を2枚抜くんですよね。これは、実験を鑑定会社が、やったところ、6秒以上は必要です。片手では出来ません。両手でやる必要がある。と言っているんですけれども、これを前提としても、防犯カメラの死角に入れば抜き取る時間はあったよ。防犯カメラの死角に入った時間は10秒位あるんですよ。ルパン三世みたいな話ですよ。しかも、その死角で抜き取っているということは、なんでいえるのか?という説明は全くありません。機会があったではないですか?と。自分に都合が悪い事実ですから、それは可能性はあったよと。可能性があっただけで、有罪にはならないでしょう。と思われかもしれませんが。それが、実態です。悲しいながら。じゃー抜き取った66600円はどこにいれたか?は原審判決も明言はしていません。勿論カメラに映っていません。それから封筒を、空の封筒をどこに入れたかも明言はしていません。それも映っていません。
 最後には、胸ポケットがあろうが、なかろうが関係はありませんと言っています。これもよく判りません。この白い物体というのは、今回ポイントになっていますが、白い物体は封筒でしたか? 答えはNOです。封筒だという証明はされていませんから、白い物体は封筒だということは推認できないはずです。じゃーなんだったのか。煙石さんは払い戻しに行って、常連さんですから、担当の女子行員が代わりに払い戻し手続きをしてくれるから、自分で払い戻し手続きを書かないですけれども、この日は、その方が接客中だったものですから、自分で書いていますね。だろうと・・・。という記憶でした。自分で書く必要があったので、自分で書いたのではないか・・・。という記憶ですが、煙石さんにとっては、この日は、特別な日ではないので、そんなに記憶はないのですね。だって、大河支店は何回も行っているんですよ。初めて行ったとか、だったら、判りますけれども、記憶に残っているのは、何日のことですか?そのレベルです。そんなに記憶があるわけはないですよ。これを高裁判決は、記憶は曖昧だと・・・。言っています。曖昧・・・当然なのです。自然なのです。むしろ、記憶に残っているのがおかしいです。煙石さんは、いろいろ絞り出してみると、その時は接客中だったり、席空きだったり、だから自分で書いた。で、払い戻し請求書を間違えた・・・用紙がいろいろあるから、そこで、書き損じの払い戻し請求書に自分の住所・名前が書いてあるから、残しておくわけにはいかないから、それを離れるときに取ったのではないかと、こう言われているんです。自然ですよね、その可能性はあるんです。少なくとも。合理的な疑いが払拭されていないですよね。これでは。これについて、高裁判決は煙石さんのその主張は記憶が曖昧なものだから封筒だと考えて、矛盾はしないよと。それは、矛盾はしませんよ。別に。封筒だということを立証しなくてはいけないのではないですか。あの原則、刑事裁判の原則、無罪推定はそうじゃないですか。矛盾しない行動をしたから、全員有罪だと・・・恐いですね。これは恐い裁判なわけです。これが我が国の高等裁判所の判断でして、当然これは、最高裁に上告しなくていけません。事実認定については、高等裁判所が最終審です。最高裁判所は、基本的には、憲法違反であるとか、過去の判例違反とか、いうことを取扱いますので、基本的には取り上げません。それが、今日、私が、冤罪が生まれつつある。と・・いうふうに申し上げたのです。非常に残念です。煙石さんに申し訳ないと思っています。なんとかして、非常に可能性は薄いですが最高裁でまた、闘いたいと思います。ありがとうございました。

                                         以上