光の春 ~あれから2年~

2019年2月17日         光の春 ~あれから2年~

 寒暖の差が激しく、定まり無き天気が続き、寒さはまだまだですが、2月の立春から3月のお彼岸の頃に向けては、「光の春」と言われもして、寒さの中にも間違いなく日々、日の光に力がこもり始めて、空が明るくなっていきます。これからの、この時期の身の周りをしっかり観察してみると、川の流れに映る日のさんざめきや、鉛の如しと言われる冬の雲が、ちぎれ雲となって、明るい空を流れていたり、草木の蕾がすでに膨らみ始めているのに気付く筈です。

 こうした光の春の中で、自然からの力や、希望がみなぎり始めているのに気付くと、命の喜びを感じる事も出来ると思います。

       菜の花や遊ぶ綿雲ちぎれ雲     ひろし

 そういえば、2年前に、私が忌まわしい冤罪の裁判で、最高裁・逆転無罪の判決を勝ちとり、ひとまず、大きな荷物を下ろす事が出来たのもそんな光の春の時期・・・3月10日でしたが、最高裁無罪判決の前の月、2月17日(金)に、最高裁での弁論というのがあり、上京しています。その時の私のブログを見てみると

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2017年2月20日      東京に春一番が吹いた日 最高裁へ無罪を願う‼

2月17日(金)

 有り難い事、厳しい寒さが緩み、テレビで、東京に春一番が吹いたと伝えていたこの日。 最高裁前は、ことさら風が強く、ネクタイがあおられて肩に吹き上げられるくらいの強風。ネクタイを戻して、背広のボタンをかけて押さえながら、正門へと向かう。あとでテレビニュースで見ると、ネクタイがかなり片方に寄っていたのは、そのせいだったのだ。白髪交じりの頭髪も乱れていた。しかし、暖かくなったお陰で、傍聴に来て下さった方々も寒い目にあわなくて良かった。 11時過ぎた頃から、一般の傍聴希望者が並び始めて、44名を超えたので、抽選となった。

 1時半開廷。久保弁護士は、「~社会的立場があり、現金500万円を払い戻すために銀行に行っていた煙石被告には、わずか6万円余りの為に、犯罪を犯す動機は皆無だ。」「煙石被告は無罪である。」と弁論。 一方、検察官は、「防犯カメラの画像は不鮮明で、封筒から現金を抜き盗ったと断定することは困難だが、被害者が離れたのちに記帳台に近づいたのは、煙石被告しかいない。」として、「上告は棄却されるべきだ。」と弁論。

 その後、司法記者クラブで、記者会見に臨んだ。はじめに私が、「私は無実です」の思いを21分あまり話した。久々に現役時代の緊張感を覚えたが、私の思いの丈を淡々と話す事ができた…と思う。次に久保弁護士が今日の弁論の内容をわかりやすく話され、記者の質問に、今の司法の問題点も指摘しておられた。

 帰りの列車の中で、「テレビを見た。」という電話やメールを次々と頂く。とにかく、重い荷物を背負って、一つの峠を越えたような安堵感を覚えた。

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と記しています。

 思えば、私は、66600円を盗ってもいないのに、防犯カメラの映像に盗った映像も無いし、盗った証拠も無いのに、さらに、持ったと決めつけられた封筒に私の指紋もついていないのに、2012年10月11日に逮捕されてから、2017年3月10日までの4年5ケ月の苦しい闘いの末、やっとの思いで無罪になりました。しかし、世の中には、多くの冤罪がある事を知り、冤罪で長く苦しんでいらっしゃる方の記事などを目にしますと気分が重く、中には不当判決を受けて服役した後、尚、身の潔白を訴え続けて苦しんでいらっしゃる方も沢山おられ、やりきれない思いです。冤罪大国日本の悲惨な現実・・・どうにかならないものでしょうか。

 ところで、昨年の秋、広島で久しぶりに日本作詞家協会の集まりがあり、懇親会で私の隣に座られた女性(生前の星野哲郎先生をご存じの方でしたが)が、「今の世の中は、悪い人が悪い事をしやすい世の中になってしまって悲しいですね。」と言われた事が、さすが、作詞家の目から見た的確な世相表現だと思い、とても心に残りました。

       白梅に酌むや偽りなき友と       ひろし

       黄の花の増え行くもまた春と知り    ひろし

煙石 博    

2019年2月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : masayukien